本文へスキップ

福祉文化研究会報告書「福祉コミュニティの実現を目指して」

事業、施設の概要

(1) 社会的事業所(ソーシャルファーム)


 一般就労が困難な人々に社会的に求められる仕事を開発して提供し、最低賃金を保障しながら経済的に自立できる雇用を目指します。
 そのためにNPO法人は障害者自立支援法に基づく就労継続支援事業A型の事業を行います。

1 公共施設管理の受託事業
 現在公共施設の建物管理は一括してビル管理会社が請け負う形で、障害のある人など特別な就労支援を必要とする人々の職場になっていません。
 しかしビル管理の仕事は、機械のメンテナンス、環境衛生管理、清掃、警備、総合案内など多様性がありかつルーチンワークも多いことから障害の特性に応じた業務分担が組みやすい業態であると言えます。
 また、地方自治法の改正により、障害のある人たちが働く事業所への自治体からの仕事の発注について、従来は物品購入だけであった随意契約が業務委託にも拡大され、公共の仕事を障害のある人へシェアリングする考えが制度化されたと理解されます。
 このような業務の特性や社会制度の整備を活かした事業を展開するために、公共施設の総合的管理受託を当事業所の基本事業とします。
 なお、実施に向けては、電気、機械など専門的技術者が必要なことから、専門職のボランタリーな支援を得ながら事業を進めます。

2 コミュニティレストラン、配食サービス
 現在宝塚市では要介護の高齢者を主に、146、000食が配食サービスとして提供されています。
 このサービスは、1食900円のうち340円が介護保険から支払われ、利用者の命と健康を繋ぐかけがえのないサービスになっています。
 しかし大量一括に調理され配達していることの制約から、利用者のニーズに十分に応えられていないのではないかという疑問があり、ニーズに合ったサービスを提供してほしいという声があります。
 食事は、暮らしの質にかかわる重要な点であるだけに利用者のニーズは非常に高いものがあります。
 その必要性を満たすためには、自宅への宅配にこだわることなく集まって楽しく頂く場と自宅への宅配とを自在に組み合わせて、一人ひとりの実情に合った食事の提供が考えられ、配食サービスを備えたコミュニティレストランを運営します。

3 環境貢献型事業
 地球温暖化防止の取り組みの一つとしてフードマイレージがあり、もっとも望ましい形として食品の地産地消の取り組みがあります。
 当事業所の予定地は市街地にありますが、少し足を向ければ農村地区があり近郊野菜など新鮮で高品質の食材を得ることができます。
 現在はときどき市が開かれ人気を呈していますが、市民からは日常的なマーケットへの要望があるので、事業として取り組みます。
 また、リサイクル品の常設販売もおこなうなど、環境貢献型の事業を展開します。

4 施設設備
・事務所
 主体のNPO法人事務の他、多数雇用する予定の障害のある人や就労支援ニーズのある人の業務打ち合わせなどを行う事務所を置きます。
・食堂、厨房
 コミュニティレストラン、配食サービスの事業だけでなく、働く人、ボランティア、訪問者も利用する食堂及び厨房を設けます。
・マーケットプレイス
 仕事の場として近郊野菜の直売など事業を行うための屋内屋外マーケットプレイスを設けます。
・倉庫・車庫
 簡易な屋内作業が可能な倉庫・車庫を設けます。


(2) 地域生活自立支援中間宿泊舎運営事業


 何らかの理由で住まいを失った人や元の住まいに戻れなくなった人に、公的制度で急性期の対応がなされたあと、仕事を得て地域での生活ができるまでの間、安定して暮らせる住居を一時的に提供して地域での自立生活を支援します。
 特に障害者の就労支援事業(ソーシャルファーム)と同じところで取り組むことにより、居住と就労をセットにしたプログラムが可能になるので、自立に向けたより有効な手だてとなります。
 また支援の対象になる人を広く考えることによって制度の狭間にあるような人々の自立を支援します。

支援の対象にする人

1 保護されている場所から地域での暮らしに移行しようとする人

・ DV(家庭内暴力・ドメスティックバイオレンス)被害者の仮住まい
  生活力を取り戻し、地域社会で自立して暮らしていくための支援をします。

・ 障害のある人々の入院施設、居住施設から地域での自立生活を具体的に実現するための中間施設として活用します。

    地域での暮らしのイメージが作っていけるような支援
    環境の変化への対応ができにくい人たちへ、地域生活へのソフトランディングを実現します。
    具体的には1週間程度の利用を反復するような方法も検討します。
      住居確保のための一時的利用
      施設を出て、就労あるいは生活保護により暮らしをたてる場合に必要な定住する住宅として一時的に利用することにより、定住のための住宅確保を得やすくします。

2 緊急的あるいは臨時的に住む場所を必要とする人

・ ホームレスの人が住居を得、就労して自立生活に移行できるよう住まいの支援をします。

・ 複数の多様な問題をかかえる家族などの一時的世帯の切り離しのための住まいとします。

3 その他地域生活のトレーニングを求める人

・ 地域での暮らしが可能なボーダーにある人たちを支援します。
・ 施設で暮らす人が一時利用をし、地域生活の経験ができる場とします。

施設設備と運営

・ 独立した居住スペースとして3戸程度の住居と、交流、相談のスペースを設けます。

・ これらの目的を達成するためには専門的なソーシャルワーク機能が不可欠ですので、当面はベテランのソーシャルワーカーのボランタリーな支援を得ながら、将来的には基金などにより専門のソーシャルワーカーを置きます。

・ 長期占有を避けるため、最長6ヶ月の利用とします。

・ 光熱水費、運営費は利用者負担とします。

(3) 障害者のアーツアンドクラフツ活動センター


 障害のある人たちが授産施設などで制作する様々な製品は、品質的には高い水準を持ちながら、受注をこなせない、商品が揃わない、商品に関する情報がない、慈善事業と思われているなどの理由で思うように売れず、工賃は低いままです。
 また商品開発の仕組みが不十分なためにそれぞれの施設がもつ能力を十分に発揮することができずにいます。
一方で豊かな社会経験や技術、知識をボランティアとして社会に還元したいと願う人も明らかに増えているにもかかわらず、それが活かされる場と仕組みがないために埋もれたままになっています。
 また障害のある人の中に極めて優れた芸術作品を創作する人があり、全国的にはプロのアーティストとして評価され、市場を形作るような取り組みも進みつつあります。
 そのような活動とも連携をし、障害のある人たちの工芸、芸術活動が社会的評価を得て、経済的な価値も持ち得るために、その活動に市民がかかわり、様々な能力を提供してもらう仕組みと場を創る必要があります。
 そのような背景をふまえて、仕事を創造し賃金を確保するというソーシャルファームの目的を達成するために、製品を開発するとともにブランド化し、製造、展示、販売できる仕組みを作ります。

1 コンセプト

・ 主に市内の授産施設、作業所などが参加し、それぞれが取り組んでいる工芸作品が作成できる小規模な工房を多数、オープンな形で設置し、多くの人に見せる、見てもらう、手を貸してもらう、買ってもらう、売ってもらう場にします。
・ 高品質の工芸、高い芸術性にこだわり、宝塚オリジナル、福祉コミュニティプラザの個性が光る製品を創り出す場とします。
・ 専門性を有した市民とのコラボレーションにより新たな製品、作品を生み出します。

2 施設と運営

・ オープンスペースを区切る形で制作、展示ができるブースを設けて市民がオープンに出入りし、制作に関われる形にします。
・ 交流や共同開発のための研究、作業をするためのスペースを設けます。
・ 文化教室として市民が学習するための教室を設けます。
・ 特別展示のためのギャラリーを設けます。
・ 参加団体で構成する運営委員会を設けますが、実務は全体を運営するNPOで行います。

 

特例認定特定非営利活動法人こむの事業所

〒665-0867
兵庫県宝塚市売布東の町12-9

TEL 0797-87-8330

FAX 0797-26-7834

[E-mail] comsi.mefu@gmail.com